旧山香小の思い出①―校章は「サクラに山小」
旧「山香小学校」があったのは、現在の浜松市天竜区佐久間町の山香地区でした。
「山香(やまか)郡」とは、古代から中世までの郡名。元慶5年(881)に「磐田郡」から分かれて「山香郡」が設置され、おおむね現在の龍山町の一部および春野町の一部の地域(気田川の下流域の一部)と思われています。中世に広域の「山香荘」が成立したのち、戦国時代には「豊田郡」に、天正年間以降は「周智郡」に編入されたようです。「山香荘」の地頭だった天野氏の本拠地は犬居城でしたので、その広さが偲ばれます。
『和名抄』によれば、「山香」は「也末加(やまか)」とされ、一般的には「ヤマ(山)・ガ(処)」で「山のある地方」の意と解釈されています。現在は、佐久間町の地区名としてかろうじてその名を留めるのみで、「山香」にかつての輝きはありません。
「山香」の名前を冠していた旧佐久間町立山香小学校も、平成18年(2006)4月、佐久間小学校と統合されて廃校に。数年前まで残っていた天竜川を見下ろす鉄筋3階建ての校舎には、「浜松市立」にならないまま役目を終えた校章が描かれていました。校章はピンク色のサクラの花に「山小」の文字。よく見ると、その下にうっすらと「香」の文字が。
旧佐久間町山香地区には、かつては3つの小学校と1つの中学校があったのだそうです。山香小学校のほかに、大久根小学校、上平山小学校と山香中学校。北遠の山里に、再びサクラの花開く季節が巡って来るのは、一体いつのことでしょうか?
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