丸い石を供える信仰⑤―熊地区柴の馬頭観音
北遠の高所集落、熊地区の柴(しば)で出会った馬頭観音です。
現在では地元民を除いてほとんど通ることがないこの道も、かつては秋葉山や鳳来寺への参詣者が通った秋葉道。そんな峠道であれば、普段は農耕馬であっても、頼まれれば駄賃馬として旅人を乗せたこともあるはずです。
そんな家族でもある馬が死ねば、供養のために馬頭観音が建てられました。風化はしていますが、両手を合わせた観音の頭上には馬頭が乗っています。
馬頭観音の隣りには、石灰岩と思われる石。前にはこの辺りのものではあり得ない丸い川石が重ねられています。素朴な馬頭観音と丸石。かつての旅の手段、馬と舟による道中の安全を願って供えられたものかも知れません。
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