佐久間は「心の故郷」⑫―久根が見える
旧塩澤家のルーツは久根の山。正確に言えば、上野の山にあった鉱員住宅のさらに上、大久根小学校のすぐ上にありました。
高齢の母親に山登りは無理。久根鉱山の入口まで歩くのも難しいと判断し、鉱山や住宅のあった山を見るのは諦めてもらおうと考えていました。その時、「山香ふるさと村」の三井さんが動きました。
「久根を見て帰らなくちゃあダメじゃん!私が乗せてってあげるから」。すぐに車をまわし、母親を乗せ、久根鉱山入口ゲートまで移動してくれました。「さあ、お母さん。ここが、鉱山の入口。そこに見える鉄の扉の奥が坑道になっているんですよ」。
木々の間から見下ろす天竜川の水は青く、川の向うに鉱山遺構が見えます。さらにその向うには、ルーツとも言える上野の山。「お母さん!久根が見えるね」。
「まさか、自分が本当にここに立てるなんて思ってもいなかった。皆さんのおかげです」。
いえいえ、お母さん!誰の「おかげ」でもありません。私たちはみんな心の中でつながっているのです。それが久根を去った人たちをつなぐ「こころの故郷―山香ふるさと村」。「私たち、ふるさと村の会員になります!」「また、来てちょうだいね!」。
私の心の中にも、あの頃の久根が見えたような気がしました。三井さん、山口さん、本当にありがとうございました。
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