「七人の猟師」の言い伝え①―『たつやま昔話』6
昔、瀬尻の山や、その西の白倉の山にかけて、大男が住んでいたといいます。その大男は、せいの高さは五メートル、山から山を、風のように走りまわったといいます。村の人たちは、この大男を見ると、
「そら出た。」
と、家の中に、にげこんだものです。
また、夜など人の先に立って、道案内のように歩くことがありました。人が急げば速くなり、ゆっくり歩けばおそくなり、とつぜんふっと消えてしまうこともありました。
ある時、白倉の村の猟師七人が七ひきの白い犬を連れ、白倉から熊(今の天竜市熊)へ通ずる南沢へ猟に行きました。この山は、谷深く昼なお暗い、なんでも七十五もの谷があるところです。ところが、この七人は、いく日たっても一人も帰ってきません。
「どうしたのだろう。」
家の人たちや村の人たちは、心配で心配でたまりません。しかし、深い山の中で、さがしに行くことはできません。
「きっと、山の大男に、どこかに連れて行かれたのだろう。」
と言って、三年目におとむらい(そうしき)をしてやったということです。
それで、その後は、七人が山へ行った日になると山のどこかで、犬のなき声と、鉄ぽうの音が、かすかに聞こえるともいいます。
このことがあってから村の人たちは、七人で山へ入ることは、ぜったいにしないということです。
今でも七人の猟師を山の神としてまつり、石碑も建てられています。(『たつやま昔話』より)
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写真が「七人の猟師」の石碑です。
石碑が立っているのは、初めての人では見つけにくい場所。たまたま知り合った地元の人が「独りじゃあ分からんよ。隣りに乗せてくれりゃあ、教えてやるに」とのことで、確認することができました。
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