釘隠しとは、社寺や格式のある住宅で、柱や吊り束が長押と交差する部分に打ち止めた大きい釘の頭を隠すための金具のこと。本来は太い和釘の頭が表面に見えないように被せるだけものだったのですが、いつ頃からか装飾品になり、いろいろな材料でさまざまな形のものが作られて来ました。
「松ヶ岡」旧山崎家住宅の各部屋には、「七宝」「菊菱」など部屋ごとに異なる意匠の釘隠しが打たれていますので、興味深く見ることができます。
明治天皇の行在所となった表座敷は、2間×2間の二間続き。2間の間に柱はなく、廊下側に出ると吊り束が見られ、釘隠しが使われている位置を確認。
探したのは「松ヶ岡」のパンフレットに「わたしがどこにいるか探してね」と書かれていた「千鳥」の釘隠し金具。各部屋を回りながら長押に目を配り、最後にようやく見つけることができました。