「松ヶ岡」旧山崎家住宅が建てられたのは安政3年(1856)。前年(1855)に発生した安政の大地震によって建築中の建物が倒れたため、何よりも耐震性を意識して再建されたとのこと。
昨年(2016)10月に実施された土間天井の解体作業によって初めて見ることができるようになった小屋組み(建物の骨組み)の梁を見ればそれが分かります。
梁に桁を組み合わせた渡り和組みは、規格通りのサイズに切断した木材と違い、決して簡単な作業ではないはず。しかも、梁からは小屋束を何本も立ち上げ、縦に横に幾重にも貫を通し、激しい揺れに対しても、揺れを吸収しながらしっかりと建物を護る頑丈な構造です。
小屋組みに使われている構造材もおそらくはヒノキ。人工の建造物であるとは知りながら、その自然な味わいに日本人ならではの感性を刺激される思いです。