ドングリの殻斗(カクト)を帽子に例えるならば、さしずめモジャモジャの毛糸帽子。ドングリの中では一番の人気者です。大きな大きなドングリで、直径2センチくらいにはなります。
漢字で書くと「椚」「橡」「櫪」「櫟」・・・。古名では「つるばみ」と呼ばれ、「クヌギ」のドングリの煮汁を染料にも使いました。そのまま染めれば「黄色」、鉄媒染では「茶褐色」に染まるそうです。
そこで・・・
紅は うつろうものぞ 橡の なれにし衣に なおしかめやも(「万葉集」巻18 大伴家持)
「紅(くれない)で染めた衣はきれいでしょうが、色が褪せやすいものです。橡(つるばみ)で染めた衣は地味でも慣れ親しんでいるので、やはり良いものですよ」の意味。
その他、灰汁抜きをすれば食用にも。木はもちろん薪として燃料になり、シイタケの榾木(ほだぎ)としても使われます。カブトムシやクワガタムシが樹液を求めて集ることでも知られ公園にも植えられていることが多いのですが、せっかく花が咲いた枝先を剪定してしまうと、翌年ドングリが成ません。
だって、このドングリ、今年の初夏に咲いた花に実がついているのではありません。去年咲いた花に実がなっているのですから。