紹介して来た森林鉄道の写真は、すべて春野町気田の「大原屋商店」の鈴木さんからお借りしたもの。「山住事業所 昭和20年頃」と書かれた写真の木材を満載した台車の背後に見えるのは「大山住神社」と書かれた幟旗。「現場に祀った氏神の例大祭。署の幹部も総参加で神への祈り」とあります。
山住神社の幟立てに、森林鉄道のものと思われるレールが使われているのに気づきました。山住神社が祀られているのは水窪町。だから、「これはきっと、水窪森林鉄道レールだったに違いない」と早合点していましたが、山住を通っていたのは気田森林鉄道。となると、山住神社の幟立てに使われているレールは、春野町篠原から延々と気田川を遡って水窪に達していた気田森林鉄道のものだったに違いありません。
事故の起きぬように願った山住神社であるなら、廃線となり不要になったレールを、幟を立てる柱として寄贈しても何ら不思議ではありません。わずか半世紀余りの時間を遡ると、北遠の林業が好景気に沸いた時代が見えて来ます。