秋本番間近の竜頭山と天竜スーパー林道⑪―山住神社
前回、「中秋の天竜スーパー林道ドライブ」と銘打ってでかけた9月15日には、山住神社は珍しく素通り。でも、「掛塚まつり」で山住神社を建てた宮大工・曽布川藤次郎の玄孫の谷さんと楽しい時間を過ごした後ですから、ここに寄らないという選択肢はありません。
これまでにも何度も何度も見てきた山住神社の社殿ですが、今更ながらに関心するのは、斗(ます)と肘木とを組み合わせた斗供(ときょう)と呼ばれる組木の複雑さ。もちろん、美しさを意識していないわけではありません。しかし、地震の多い日本では、揺れや衝撃を分散し、強度を保つために欠かせない高度な免振設計と施工技術、その1つが斗供なのです。
曽布川藤次郎のこの建築技術が大川平三郎に認められ、日本最初の木材パルプによる製紙工場となった春野の王子製紙気田工場の建築に生かされることとなりました。
再来年(2021)に放映されることが決定しているNHK大河ドラマ『青天を衝け』。渋沢栄一の人生が描かれるドラマの中に、必ずや王子製紙気田工場の建築風景が登場するだろうと期待しています。日本中が注目する近代史ドラマの1ページには、曽布川藤次郎が建築した巨大な工場群が登場するはず。
伝統的な宮大工の技術と先進の西洋建築を融合させた曽布川藤次郎は、掛塚・十郎島で生まれ育った名工です。
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