天竜の石鳥居を巡る①―宇佐八幡神社
以前、「掛塚湊経由で運ばれた石鳥居」で紹介したように、浜松市天竜区山東地区にある山東八幡神社の石鳥居は、文政5年(1822)6月、愛知県の岡崎から掛塚を経由し、天竜川・二俣川を遡って運ばれたものでした。そして、これは「渡ヶ島諏訪神社を訪ねて③」で紹介したことですが、同じく天竜区渡ヶ島にある渡ヶ島諏訪神社の石鳥居は慶応3年(1867)にやはり愛知県の岡崎で造られたものであることが分かっています。
この機会に、旧天竜市にある神社の鳥居を追いかけてみようと思い立ち、訪れたのは大谷(おおや)の宇佐八幡神社。同じ境内には、国学者・内山真龍を霊神として祀る社もあります。
宇佐八幡神社の鳥居はすべて円柱で出来ている神明鳥居。やや転びはありますが、元々は丸太を組んで造られていた素木鳥居(しらきとりい)に近い素朴な形と言えると思います。
刻まれた文字は「明治四十一年十月建之」。西暦1908年に当たりますので、今から112年前の建立。明治・大正時代は政府が国家神道の浸透を図るため、集落の祭祀を奨励し、鳥居の造立も盛んだったようです。
鳥居前の燈籠には「大正11年十月」の文字が刻まれ、社殿前の燈籠には「大正四年十一月建之」の文字が。大正4年(1915)11月は、もちろん大正天皇の即位式。山東八幡神社の燈籠と同じ「御即位紀念」の奉納です。
関連記事