「民俗の宝庫」水窪を訪ねて⑤―月夜平のノガマ
水窪の商店街を見下ろす東向きの斜面、月夜平の辺りからは石鏃、土器片などが見つかり、指定史跡として浜松市の文化財に登録されています。そして、そこは、多くの墓石が並ぶ共同墓地。
あまり気乗りのしない場所ではありますが、ここで「ノガマ(野鎌)」と呼ばれる風習を再確認してみようと出かけました。
墓の上に鎌を立てる「ノガマ」の風習は、死霊の蘇りを嫌う魔除けとも言われ、以前、同じ水窪の永福寺の墓地でも見たことがあります。かつて、土葬が普通だった頃には、狐などの野獣に墓を暴かれないようにとの現実的な必要もあったのかも知れません。
最近では、この「ノガマ」が行われている墓地は少ないようですが、月夜平の墓石に隠れるように立てられたり、寝かされたりしている錆びた鎌が見られます。
棺桶を担いで墓の穴に降す時に縄を切った鎌は、不浄なものとして墓に立てて来た、とも。そんな「ノガマ」の風習も、「民俗の宝庫」水窪では見ることができました。
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