小正月の南野田を訪ねる⑦―屋敷神
すべての家ではありませんが、かつての集落には屋敷やその土地、山林などを守る屋敷神を祀っている家がありました。多くの屋敷神は、明治時代の末、一村一社の政策により合祀されたり、境内社として遷座されてしまいました。
ところが、南野田(みなみのた)集落の何軒かの家には、屋敷神と思われる鳥居が立っています。 中島さんの家の裏手の一段高い場所にも鳥居が見えましたので、案内していただきました。
鳥居が立っているのは、畑の隅の手着けずの場所。木々に囲まれた一画に八幡神と金毘羅大神と刻まれた石碑が2基と木製の覆い屋の中に社が1社。それぞれに、「にゅうぎ」が供えられていました。
社の扉は開けてみませんでしたが、鬼門封じの地の神に似たものかも知れません。あるいは、その脇には墓石もありましたので、祖先神が祀られているのかも知れませんが、こんな風習が残っているのは、南野田ならではのこと。
日常の買い物など生活に不便を感じることが多い山間地ではありますが、精神的な豊かさが今でも残されています。私たちが失くしてしまった・・・。
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