伊豆半島へジオ・ドライブ⑫―松崎町の「なまこ壁」と長八美術館
下田の町を後にして、次に向かったのは松崎町。ここでも見たかったのは「なまこ壁」の民家です。
「なまこ壁」に使われている漆喰(しっくい)とは、「石灰」を訓読みの「いしばい」ではなく、「せっかい」と音読みしたのが語源とのこと。つまり、石灰に海藻から採れる布海苔(ふのり)などを溶かし込んで練り上げた塗り壁材が漆喰です。いずれも、伊豆半島には豊富にある自然素材。下田や松崎に「なまこ壁」の建物が多く建てられたのは、そんな地理的な優位さから。
松崎が生んだ漆喰鏝絵の名人・入江長八の作品を展示している「伊豆の長八美術館」を訪ねる時間はありませんでしたが、近くには趣きのある「なまこ壁」の店や民家がたくさんありました。
伊豆半島の先端に近い下田や松崎は幕府が開かれた江戸から離れているように思われるかも知れませんが、陸路を歩くより、船に乗って海路を行けば遠くはありません。
掛塚の船が帰路、伊豆の港に立ち寄り、伊豆石を積んで帰ったのも海路ならではの利便さから。遠州地方に残る伊豆石の蔵や石壁だけでなく、石工たちも伊豆からやって来ていたに違いありません。
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