遠信国境・青崩峠を歩く⑭―石仏群
「峠」とは、「手向け(たむけ)」が転じた言葉と言われています。旅行者が道中の安全を祈り、路傍の神々に榊などの枝を「手向け」たところから、「たむけ→とうげ」となったとの説です。
遠州と信州との国境・青崩峠にも、3体の石仏が佇んでいます。向って右から「馬頭観音」「地蔵尊」「聖観音」と思われますが、「馬頭観音」は、この峠を旅人だけではなく、重い荷を負った馬が往来した証。「聖観音」には「有縁之霊」と刻まれていますので、実際にこの峠道で倒れた旅人の供養のために建てられたものかも知れません。
かつては、山の鞍部、つまり最も低い所を歩いて越した峠ですが、新たな交通路として峠の下にトンネルを掘ると、便利さとの引き換えに旧道は補修工事もなく廃れて行きます。
徒歩の時代の主要街道の青崩峠も、今や越す人も少ない「古道」とされ、歴史の彼方に忘れ去られようとしています。
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