双体道祖神と言えば長野県安曇野のものが有名ですが、長野県と県境を接している静岡県の北遠地方でも、数体の双体道祖神と思われる石像が残されています。
その中の1基が日入沢(ひるさわ)の道祖神群に見られます。12基並ぶ石像の向って左から6基目が、それ。
近寄ってみると、確かに向って左の女性に見える1体が瓢を持ち、右の男性に見える1体は盃を手にしているようです。男性の右手が見えませんが、女性の肩に回されているのかも知れません。将棋の駒形の塔形も含め、この意匠は、船明の「兄妹地蔵」と呼ばれる双体道祖神と似ていると思いませんか?
鉄格子に収められていて少し可哀そうな気もしますが、信州から続く秋葉古道の往来が途絶え、峰之沢鉱山も操業を終えた頃から、古道沿いの馬頭観音などが次々と失われたことが原因。盗難防止のために地域の住民が話し合い、「申し訳ないけど・・・」、今の形になったとのことです。