王子製紙による繁栄①―中部工場の全景
以前、浜松市天竜区春野町気田の「大原屋商店」の鈴木さんからお借りした王子製紙気田工場の写真の中に、1枚だけ「北遠中部(なかべ)風景 王子製紙會社」と書かれた絵葉書が交じっていました。写真は、かなり高い位置から撮られていて、高い煙突が立つレンガ造りと思われる工場の全景が見て取れます。
王子製紙気田工場が操業を開始したのは明治22年(1889)、当時の磐田郡佐久間村の中部工場の操業開始は10年後の同32年(1899)。原料となる木材は上流の長野県から調達したため、筏に組んだ木材が天竜川を下り、次々と中部に陸揚げされたのだそうです。
パルプ製紙には木材の調達と大量の水が欠かせません。そのため、製紙工場は川沿いに建てられました。中部工場もまさに川のそば。閉鎖されたのは大正13年(1924)でしたので、その間25年、木材パルプによるこの製紙工場が当時の紙需要増大に応えました。
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