北遠の庚申信仰⑥―天邪鬼を踏み付ける庚申仏

AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん

2019年11月02日 04:25

 先日、浜松市東区中野町の松林寺で見かけた庚申仏、青面金剛童子の石像です。すでに、何度も紹介して来ましたが、この八臂の青面金剛が天邪鬼を踏みつけていましたので、紹介します。

 青面金剛の像にはバリエーションがあります。腕の数は、二臂から八臂までで、持物は、三叉戟、棒、法輪、羂索、三鈷杵(さんこしょう)、弓、矢、剣、矛、杖、蛇などいろいろ。春野で見かけた二臂の青面金剛は、どちらも「ショケラ」 と呼ばれる上半身裸の女人像の頭髪をつかんでぶら提げていました。






 松林寺の青面金剛は「ショケラ」は提げてはいませんでしたが、両足で天邪鬼を踏みつけています。天帝に人々の悪事を告げるのは三尸(さんし)の虫ですが、天帝の命で罰を与えに来るのは天邪鬼。

 庚申の夜には寝ず過ごして、三尸の虫が体から抜け出さぬようにし、万が一、天邪鬼が来ても、青面金剛に退治してもらおうという魂胆です。

 左右に日月を配し、足元には雄鶏と雌鶏、天邪鬼の下には三匹の猿を配しています。右手に五鈷鈴(ごこれい)を持っているのも珍しいですね。

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