秋葉山、久保田道を行く⑥―二十八番、二十九番、三十番の石仏
「二十八番」の石仏はかなり傷んでいましたが、蓮華を抱く姿は、成相寺(なりあいじ)本尊の聖観音。ご詠歌は「なみのをと 松のひびきも なりあいの かぜふきわたす あまのはしだて」のはずですが、出だしの「○能志よう」の文字が気になります。
寄進者は「○田村 天野○藏母」。「○田」の「○」に入る文字が「氣」だとすれば、「二十三番」と同じく、地元・春野町の名前が刻まれていることになります。
「二十九番」は、三面二臂の馬頭観音。京都府にある松尾寺(まつのおでら)の本尊です。頭上に馬頭を頂く見慣れた姿とは違いますが、正面の顔は憤怒の表情です。
ご詠歌は「そのかミは いくよへぬらん たよりをば ちとせも(を)ここに まつのおのてら」。造立されたのは「文化十二年」でしょうか?
久保田道も終わりに近づき、「三十番」は千手観音。滋賀県長浜市の宝厳寺(ほうごんじ)の本尊です。ご詠歌は「つきもひも なみまにうかぶ ちくぶじま ふねにたからを つむここちして」の「ここち」の文字が、わずかに読み取れます。「竹生島(ちくぶしま)」は、琵琶湖に浮かぶ島。宝厳寺はこの島内にあります。
寄進者は、「并雲奈 ○本利吉」のように読めます。
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