水窪・小畑観音堂を訪ねる③―唐破風懸魚の弁財天と吉祥天

AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん

2018年08月02日 05:30

 水窪町の「小畑」と「大里」の地名には、こんな言い伝えがあります。応永の中頃(1410年頃)、奥山金吾正定則が後醍醐天皇の孫伊良(ゆきよし)親王を奉じ、仮御所と政所を設けた場所が「内裏⇒大里(だいり)」、そして、関所を置いて錦の御旗を掲げた場所が「御旗⇒小畑(おばた)」とのこと。観音堂は、そんな小畑の山の斜面を登った高台にあります。

 唐破風懸魚の彫刻は、雲の上に2人の天女が座っているようです。1人は琵琶を持ち、1人は宝珠を抱えていますので、弁財天と吉祥天。琵琶を弾く弁財天は、諸芸能上達の神。吉祥天は福徳の神。

 かつて吉祥天は七福神の1人で数えられていたのですが、その後、弁財天に人気が集まり、七福神の座を奪われた因縁があるようですが、小畑観音堂では2人仲良く小畑の集落を見下ろしています。

 あなたなら、どちらの天女を七福神として選びますか?

 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる①―「伝・御旗跡」
 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる②―向拝虹梁の龍亀
 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる④―海老虹梁の龍
 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる⑤―脇障子の獅子と牛若丸
 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる⑥―屋根下周りの彫刻
 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる⑦―木鼻
 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる⑧―金燈籠
 【関連記事】水窪・小畑観音堂を訪ねる⑨―床下の木鼻

関連記事