山住神社の社務所裏の山に、今でも水が湧く古井戸と磐座(いわくら)とがあります。
古井戸があるのは、杉林の山道を少しだけ下ったところ。そして、その背後には、巨岩が聳え立っています。その圧倒的な迫力は、まさに「磐座」。古代、神が降りて来る依り代と見立て、信仰したであろう雰囲気が漂っています。
山から浸み出す水を集めた古井戸はコンクリートで固められ、現在では電動ポンプで汲み上げられているとのことでしたが、今でもこの地で神職たちの水垢離が行われているそうです。しかも、それは厳寒の1月。凍り付くような水を頭から被る水垢離は、古来の山岳信仰の面影を残したものでしょうか?
社務所で「水を飲んでみるといいよ」と聞いていましたので、失礼して、パイプがから流れ出る水を手に取り、口に含んでみましたが、なるほど、おいしい水。この巨岩と水があったのが、山住峠に神社が祀られた理由に違いありません。