佐久間には山姥伝説が語り継がれ、八丁坂の途中にも山姥神社があります。そして、明光寺から尾根道を少し南東側に下りた山の中にある「子生石」を訪ねました。
明光寺住職に断りを入れ、久しぶりに訪ねた「子生石」ですが、道らしい道があるわけではありませんので、ただただ以前案内していただいた時の記憶だけが頼り。杉木立に覆われた尾根には、露出した大岩が続くのですが、その中のどの岩に山姥がつけたと伝えられる爪痕が残っていたのかはなかなか分からず、どんどんと先に進み、傾斜のきつい下りに入ったところで引き返すことに。
半分諦めかけて岩に腰掛けたその時、手をついた岩肌に点々と並ぶすり鉢状の窪みが見えました。あった!「子生石」だ!
この窪みが、民俗学者・柳田國男によって紹介された「子生凹(こうみたわ)」。山姥がお産の苦しみに耐えた時の爪痕と伝えられている窪みは、おそらく自然に出来た盃状穴だとは思いますが、山姥の爪痕と見立てたのは山姥伝説が残る佐久間の西渡だからこそ。
「子生石に興味がある人は、ぜひ、お訪ねください!」と、うかつに言えないのが残念です。