明るいうちに舞われる舞は2つ―「地固め」と「金山(かなやま)の二ツ」です。
舞処(まいど)を固めるために舞われる舞は、前座の舞ではあるのですが、笛だけの楽に合わせて太鼓の撥を両手に持ち、たった1人で舞い続けること45分。舞い初めは軽やかだった身ごなしも、終盤には衣装は乱れ、肩で息をし、いかにも苦しそうです。
単調な所作の基本は、右手右足、左手左足の「ナンバ歩き」。腰を低く降ろしては立ち上がるスクワットのような動作を、笛の音に合わせて繰り返します。
笛が激しく鳴れば、舞処の四隅を飛び跳ね、隅から隅までを踏み固める舞。「地固め」の舞が終われば、「金山の二ツ」の舞からは、笛に太鼓が加わります。
「金山」とは、剣のこと。鉢巻を巻いた舞手は、剣と鈴とを持って踊ります。2つの舞が終われば、「花の舞」が舞われる本番までしばしの休憩。柚子味噌が香る五平餅をいただき、切株の椅子に腰を下ろし一服することにしました。