初夏らしい陽射しが照り付ける1日となった5月29日、自然観察のため阿蔵(あくら)にある玖延寺の奥、阿蔵川に沿った山道を歩きました。
玖延寺先にある橋のたもとに建てられた「一級河川阿蔵川起点」の表示看板―この小さな川が「一級河川」とはどうしてでしょう?
「一級河川」とは国土交通省が「国土保全上または国民経済上特に重要として指定した水系」のことであり、阿蔵川だけを指しているのではなく、天竜川水系全体を指しているのです。一級水系の川の中で、河川法による管理が必要とされる川なら、その川が小さくても「一級河川」。
そして、その「起点」とは水源そのものを指すのではなく、あくまでも管理が必要とされる区間の表示。阿蔵川はもっと奥から流れていますので、地図の上では表記されているのですが、国交省の管理としては、「この橋を『起点』とします」という表示の看板に過ぎません。
だから、ここから奥も間違いなく阿蔵川。梅雨入り前のこの季節、水量は決して多くはありません。山道を散歩に訪れる人は結構多く、私が勝手に名付けた「あくら自然観察の道」には明るい挨拶と笑顔が小鳥のさえずりに負けないぐらいに溢れています。