天竜川河川敷に蔓延るマメ科とつる植物③―ツルマメ
道の辺の 荊の末に 這ほ豆の からまる君を 別れか行かむ(「万葉集」巻20―4352 防人歌)
解釈は、「道端の茨の枝先に豆の蔓が絡みつくように私に纏わりつく、そんな君から引き離されて私は旅立って行かなくてはならないのか」。万葉集で「豆」を詠んだ歌はこの1首だけ。「豆」は、特定の植物を指したものではなく、野生の蔓性マメ科植物の総称だと言われています。
時として、蔓性の「豆」のことを忘れてしまっていませんか?思い出してください。『ジャックと豆の木』のお話では、ジャックは豆の蔓をどこまでも登り、とうとう雲の上まで行きます。「だって、大豆は蔓性じゃあないじゃん」ですか?実は、その大豆は、ツルマメを改良したものだと言われているのです。
ツルマメは日当たりの良い野原や道ばたなどで普通に見られる蔓性の1年草で、直径5㍉に満たない小さな小さな花を咲かせます。他の植物に巻きついて自分の体を支え、まもなく、長さ2~3㌢の枝豆に似た莢ができるはずです。
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