天竜川河川敷に蔓延るマメ科とつる植物①―クズ
秋の初めは、一年の中でもマメ科の花が多く見られる季節。自宅近くの天竜川河川敷を歩き、マメ科とつる植物を中心に観察してきました。
先ずはクズから。クズ(葛)は「秋の七草」の一つ。マメ科の多年草で荒地に繁りますので、山里に限らず、新幹線の敷地内など、誰でもどこでも見ることができます。今が花を咲かせる季節。かつては、「葛」などのつるを「かずら」と呼んで、カゴを編んだり作業に使ったため定期的に切り取られ、今ほどは繁茂していなかったようです。
根は山芋のように太くなり、「葛湯」や「葛餅」の材料となる澱粉「葛粉」を取ります。もちろん漢方薬「葛根湯(かっこんとう)」の原料に使われているのも、これ。つるから取った繊維を緯糸にして編んだ布は「葛布(くずふ、かっぷ)」と呼ばれ、襖紙のほか、裃などの衣服にも使われたとか。この古代布の伝統を引き継ぐ「葛布」は、今でも掛川の民芸品として残っています。
よく見ると、初夏に咲くフジの花を逆さにしたようなマメ科の可愛らしい花を付けていました。
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