しゃべって笑った初夏の秋葉山②―ヤマグワの実とヒメコウゾの花
歩き始めてすぐに気づいたのは、真っ赤に実った桑の実。すでに黒く熟した実もありましたので、「その黒っぽくなった実を食べてみ」「できるだけ黒い実の方がいいぞ。どう?」「あま~い」。
蚕の餌として広く植えられていたマグワが野生化し、北遠のあちらこちらで自生しているのも見られますが、この芋虫に似た桑の実は、在来種のヤマグワのようです。
少し先には、同じクワ科のコウゾが花を付けていました。花の時季からは少し遅れているようで、もう花と言うよりも、実に近いのかも知れません。コウゾは雌雄異株。緑色の球から頼りなさそうに伸びる赤紫色の糸のようなものが雌花です。
コウゾ(楮)と言えば、ミツマタ(三椏)やガンピ(雁皮)などとともに、和紙の原料になる植物。「紙麻(かみそ)→かみぞ→こうぞ」に変化したとの説もあり、もっとも良質な製紙原料として栽培されていました。
コウゾが製紙原料として栽培されていた歴史を示す、忘れてはいけない「植物遺産」の1つです。
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