1873年(明治6年)渋沢栄一により「抄紙会社」設立、日本の洋紙産業の始まり1875年(明治8年)東京府下王子村に工場完成、破布を原料に抄造開始1876年(明治9年)商号を「製紙会社」と変更1889年(明治22年)静岡県に日本で初めて木材パルプを原料とした気田工場を開業(1923年廃止)1893年(明治26年)創業地の名を冠し、商号を「王子製紙」と改称
これが、「王子製紙株式会社」のHPに掲載された沿革です。
「静岡県立中央図書館」で公開しているデータの中に、「近代日本製紙業の創成と王子製紙」という項を見つけました。この項は、「王子製紙気田工場設立の経緯について教えてください」との質問に答える形になっています。
その一部を引用してみると・・・
「然るに木曽川の上流には、沢山の木材はあるが、河流が激湍であって、運搬の方法がない。富士川もよいが、多くは御料林で簡単に買取の方法がない。そこで天竜川の上流秋葉山の奥を探検した処が、非常に広大なる民有林があり、また遠州の牡丹谷と言う処に、恰当の林野を発見した。」と述べています。
『王子製紙社史』には「この気田川は天竜川の一支流で、此の辺は僅かながら小船の運送の利く所であり、また水力電気の遠距離送電が発達しない時代に、ペルトン水車を利用して直接に動力を獲得出来る地点でもあった。」とあり、大川らは、数ヶ所の候補地域の山林調査の結果、原木として最適なモミ、ツガが豊富であり、小船に限られてしまうものの、船運が可能な気田の地を発見したのでした。(原文のまま)
こうして、明治20年頃に「王子製紙気田工場」の起工式が執り行われ、2年後に操業開始。日本初の木材パルプ(亜硫酸パルプ)工場が誕生しました。
写真は、「起工式」当日の様子を写したもの。中央の見える「マル王」の印が「王子製紙」を表わしています。