掛塚湊の面影を訪ねて⑦―貴船神社のナギの木と掛塚の「ものづくり」
貴船神社の祭神は高龗神(たかおかみのかみ)。水を司る神様で、降雨・洪水や農林漁業・醸造業のほか、水上交通の守護に神徳があるとのことで、掛塚の貴船神社はことさら廻船業者の崇敬を集めました。
掛塚は天竜杉を搬出する拠点港。天竜川を往来する小型船や海上を行く大型船の安全のため、貴船神社境内にも風が凪ぐことを願ってナギの木が植えられています。その数5本。特に大きな木は見られませんが、願いは十分に伝わって来ます。
掛塚は自然の地形を生かして設けられた遠州灘の風待港として、室町時代の後期にはその名が記録されています。
廻船業は南信濃、奥三河、北遠の材木を運び出すだけではなく、製材までも行いましたので、掛塚には大工や製鋸などの技術者も集まりました。また、諏訪立川流の指導を受けた宮大工たちも育ち、江戸後期には現在の遠州型一層大唐破風の屋台が作られ、それらの流れを汲む屋台は、今でも「掛塚まつり」で見ることができます。
遠州地方の「ものづくり」文化の原点は、掛塚にあり!船荷の積み降ろしに留まらず、加工から加工機械の製造まで手掛けた先人の心意気を忘れず、「遠州の小江戸」の名を全国に発信しましょう!
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