浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑥―鈴木傳重郎「重直」

AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん

2019年09月06日 05:44

 私が探すまでもなく、平野又十郎住宅の付書院は、次のように解説されていました。

 障子の上には木彫の欄間がはめ込まれ、表に「重□(花押)七十一作」、裏に「鈴木□□七十一」「カケツカ」の彫込が見られます。これはおそらく竣工間近工鈴木勇次郎が残したもので、当時71歳であったのでしょう。

 ・・・と書かれているではありませんか。しかも、さらに・・・

 よく似た彫込が安間村(現東区安間町)の金原明善生家(現金原明善記念館)の同所(座敷付書院の欄間表)にあり、同じ大工が手がけた可能性があります。

 ・・・とも。

 そして、実際に彫られていたのは表に「重直 七十一作」の文字と花押、裏に「カケツカ」の文字と「鈴木三光七十一」の落款を模した彫込み。解説で「□」とされていた文字は、「直」「三」「光」で間違いありません。

 ただし、鈴木勇次郎と「重直」こと鈴木傳重郎は別人。家を建てた大工棟梁は鈴木勇次郎ですが、付書院の欄間を彫ったのは鈴木傳重郎というのが正しいと思います。

 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる①―鳥居に刻まれた「平野又十郎」
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる②―ナギの木
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる③―「石工 今井新太郎」
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる④―「森岡の家」
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑤―付書院
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑦―組子建具
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑧―欄間
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑨―伊豆石の塀
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑩―遠慮講成績碑
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑪―「村石旭陵刻」
 【関連記事】浜北・貴布禰神社&「森岡の家」跡を訪ねる⑫―万葉歌碑

 【関連記事】掛塚の大工が建てた家①―水窪の耳塚家
 【関連記事】掛塚の大工が建てた家②―「材製□龍天」のホーロー看板と耳塚家住宅
 【関連記事】掛塚の大工が建てた家③―「二見浦真景」の欄間
 【関連記事】掛塚の大工が建てた家④―二面彫りの欄間
 【関連記事】掛塚の大工が建てた家⑤―大黒柱は欅、上がり端は桜、梁桁は松
 【関連記事】掛塚の大工が建てた家⑥―杉根杢の板襖
 【関連記事】掛塚の大工が建てた家⑦―建具の組子
 【関連記事】掛塚の大工が建てた家⑧―出桁造り

 【関連記事】諏訪立川流が好んだ「粟穂に鶉」②―鈴木傳重郎作の「粟穂に鶉」

関連記事