半田・常滑を訪ねる⑨―「丸に九枚笹」紋の釘隠し
瀧田家の長押の釘隠しに、三菱マークを逆さにしたような意匠が施されています。部屋に展示されていた竹を編んで作られた黒い行李にも同じ意匠が。
実は、これは「丸に九枚笹」と呼ばれる家紋。豊臣秀吉の軍師として知られる竹中半兵衛の家紋もこの「丸に九枚笹」。三菱マークではありませんでした。
ここで気になったのは、長押のあちこちに見られる釘隠し。釘隠しが使われているということは、部屋の化粧材である長押が釘止めされているということ。考えてみれば、宮大工の曽布川藤次郎翁が造った旧津倉家住宅の室内には、釘はもちろん釘隠しすら見当たりません。
ほぞ穴にほぞを差し込む「ほぞ組み」と呼ばれる伝統工法で造り上げたのが旧津倉家住宅。いまさらながらに、宮大工が建てた家の素晴らしさを再認識させられました。
瀧田家の鬼瓦には「丸に並び笄(こうがい)」紋。笄は髪を整えるための道具で、髪飾りのように髷に挿して使ったものだそうです。
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