川袋・八雲神社の狛犬⑥―村上濱吉とは?
狛犬の献納者として刻まれている「村上濱吉」の名は、八雲神社境内に建てられた「皇紀二千六百年紀念献納芳名」を刻んだ「記念碑」には「金三百円 村上濱吉」、「玉垣寄附芳名」の石碑にも「金一百円 東京市 村上濱吉」と刻まれています。
村上濱吉とは、川袋出身の実業家・村上太三郎の養子。証券取引で財を成し岩手県の大萱生金山を購入したのは太三郎で、その後、濱吉が経営を任されたようです。貴船神社の狛犬には、養父・太三郎の供養の意味もあったようです。
太三郎が出資したり役員を務めた企業には、精糖・製粉・石油精製などの会社がありましたが、石材に関係した企業もありましたので、もしかしたら、貴船神社や八雲神社に奉納された希少な狛犬は、そんなつながりからの調達だったのかも知れません。
また、太三郎は衆議院議員も務め、故郷川袋を離れ東京へ。川袋の土地や建物は地区へと寄付。公会堂の敷地に建てられている「村上会館記念碑」は太三郎の偉業を讃えたもの。残されている濱吉の名の裏には、太三郎の功績が潜んでいることを忘れてはいけません。
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