藤次郎が建てた勝坂の清水神社③―本殿の彫刻に見る藤次郎の俤

AKG(秋葉観光ガイド)の斉藤さん

2018年03月04日 05:31

 暗い本殿の前に立っても、細かいところは何も見えません。これはもう、運を天に任せて、ストロボ撮影をしてみるしかありません。

 自宅に帰ってから写真を見てみると、虹梁(こうりょう)の上の彫刻欄間に松の枝に止まった鳥が彫られているのが分かりました(*写真をクリックしてください)。しかも、その松の葉は、山住神社の「紫宸殿の鵺退治」や高木常夜燈で見られる団扇形。曽布川特有のデザインです。

 味わいのある木目は欅の特徴。虹梁(こうりょう)には、唐草模様に木表に浮き出た木目を生かしています。斗供(ときょう)の木組も唐草と雲と組み合わせたような木鼻は、正面からだけ見られることを想定し、手前より奥へと広がるよう縁が斜めに彫られています。

 多少贔屓目かも知れませんが、これはもう曽布川藤次郎の作に違いありません。

 「春野町の社寺棟札等調査報告書」に惹かれて訪ねた勝坂の清水神社で、掛塚十郎島の住人であったあの曽布川藤次郎の俤(おもかげ)と出会うことができました。

 【関連記事】藤次郎が建てた勝坂の清水神社①―勝坂の「神の水」
 【関連記事】藤次郎が建てた勝坂の清水神社②―覆い屋の中の本殿
 【関連記事】藤次郎が建てた勝坂の清水神社④―神仏混淆の俤

 【関連記事】「遠州の小江戸」掛塚の文化遺産・津倉家住宅㊻―大工棟梁・曽布川藤次郎

 【関連記事】子授け、安産祈願の「勝坂神楽」①―男根登場!
 【関連記事】子授け、安産祈願の「勝坂神楽」②―「ほろ舞」「ぬさ舞」
 【関連記事】子授け、安産祈願の「勝坂神楽」③―清水神社と「神の水」
 【関連記事】子授け、安産祈願の「勝坂神楽」④―取り合わせの良いものの例え「獅子に牡丹」

関連記事