立川和四郎作と伝えられる新町屋台には、欄間の「虎の子渡し」、鬼板の「獅子の玉遊び」などの彫刻に立川流らしい細微な匠の技を見ることができます。
そもそも「虎の子渡し」とは・・・
虎が3匹の子を生むと、その中の1匹は必ず獰猛な子が雑じるのだそうです。その獰猛な子虎と他の子だけを一緒にしてしまうと、獰猛な子が他の子を食べてしまうので、川を渡る時、親虎はまず獰猛な子虎を対岸に渡し、他の1匹を渡したら一度獰猛な子虎を連れ帰り、次に残る1匹を渡し、最後にもう一度獰猛な子虎を渡したという話。世の中を渡るには、工夫や算段などの知恵を働かせることの大切さを教える故事です。
「獅子の玉遊び」については、猫がボールにじゃれる様子を連想すれば良いようですが、玉は幸運や慶事の象徴。幸運や慶事でじゃれるというよりも、引き寄せると考えた方が良さそうです。
獅子の玉は、籠のように内部を透かす「籠彫」の手法で立体的に仕上げられています。