「掛塚まつり」が近づきました!⑪―新町屋台と「粟穂に鶉」
新町屋台も諏訪の立川和四郎作と伝えられ、三代冨重とその弟・冨種の共同製作と考えられています。屋台の製作年代は慶応2年(1866)。欄間の収納箱には「明治三年立川ヨリ送リ」と書かれているとのことですので、完成までには年月を費やしたことが覗われます。
立川流らしい彫刻は、和四郎が好んだ「粟穂に鶉(うずら)」の意匠。屋台後方の左右の脇障子として仕上げられています。
「粟穂に鶉」の季節は、まさに秋。鶉が粟の落ち穂を啄ばむ様は、豊穣な実りへの願いを込めた題材。
また、腰板の「波に千鳥」は、航海の安全を願う、いかにも湊町らしい取り合わせです。
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