浜松市中区の静岡文化芸術大の学生たちが、同市天竜区龍山町で昔話や言い伝えの聞き取り調査をしている。過疎化で語り部が少なくなる中、住民たちが受け継いできた話を記録に残そうと、書籍にまとめる予定だ。
調査をしているのは同大の二本松康宏教授が指導する「伝承文学ゼミ」。2014年から天竜区水窪町で住民約200人から聞いた話を、3冊の本にまとめてきた。龍山町では今年から調査を始めた。
17日には、学生6人が白倉地区を訪れ、お年寄りら9人の話に耳を傾けた。「お盆は川に入っちゃいけない」といった慣習や地名の由来などを聞きながら、メモを取っていた。3年の岡田真由子さん(20)は「自然の中で生きてきたことが伝わる話が多かった。ここに住んできた人たちの暮らしの一部として残したい」と話した。
ただ、参加した家庭の多くは子どもが実家を離れて暮らしている。地元の言い伝えを孫に話す機会もなく、思い出せない話もあったという。青山幸子さん(84)は「龍山の話を調べてくれて、ありがたい。父親からいろいろ聞いていたから、もっと話してあげたかったけど」と残念がった。
方言や語り口を聞いたまま本にまとめ、来年3月の出版を目指す。二本松教授は「方言のまま残すことに文化財としての価値がある。今やらないと伝える人がいなくなる」と話した。(「中日新聞」より)
文字化しにくい語りは音声データとして残してほしいと思います。頑張ってください!