そして、銅版画「回漕業及材木商 松下文次郎」に描かれている地には、昭和10年(1935)に建てられたレトロな洋風建物、国登録有形文化財の旧掛塚郵便局が残っています。
旧掛塚郵便局の所在地は、厳密に言えば現在は磐田市白羽(以前は掛塚村⇒掛塚町⇒竜洋町)。明治6年(1873)の開設当時の局数は全国で1500局。その後、郵便為替や電報も取り扱われ、電話交換所も設置されたとのことですので、当時の掛塚がいかに重要視されていたかが分かります。
そして、現在の国道150号ではなく、旧掛塚郵便局の局舎前を通る道が、かつての主要道であった横須賀往還。現在も古い建物が多く残る辺りが、掛塚湊の中心街であり繁華街だったのです。
そして、銅版画に描かれていた一画は回船問屋を営んでいた松下家の土地。旧掛塚郵便局の土地や局舎奥に残る伊豆石の蔵は、松下家のから長谷川家が購入したもの。土地に沿った南側の道は、かつては小舟が通った水路跡です。